敗血症対策は、「予防」「早期発見」「感染症治療」
「全身管理」「リハビリテーション」の、5つの大きな柱からなります。
これらが1つでも欠けると、敗血症対策が不完全なものとなってしまいます。
5つの連携と調和がとても重要です。
病原性の微生物、細菌・ウイルス・真菌(カビ、酵母等)が、人の体内に侵入することを防ぎ、感染症にかからないように注意することが大切です。そのためには、まず頻回な手洗いが有効です。あなたはもちろん、ご家族や周りの人もしっかり手洗いを実践してください。また、風邪などにかからないよう、必要以上に人混みを避け、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種などを受けることも効果的です。
感染症を引き起こす細菌やウイルス、真菌(カビ、酵母等)は、感染者や人混みだけではなく、食べ物や庭の土の中、ペットの糞尿などにも潜んでいます。肌荒れや小さな傷から侵入することもあります。感染を回避するため日常の注意が必要です。
感染症について詳しくはこちら肺炎、下痢、膀胱炎、傷の化膿などの身近な感染症を発端に、次のような症状が出現する場合は、敗血症を疑います。
敗血症は感染症によって、全身の様々な臓器に障害が引き起こされる状態です。できるだけ早い治療が必要です。早急に医療機関の診察を受けてください。
免疫力が低下していたり慢性的な病気(たとえば糖尿病など)を持っている65歳以上で敗血症は最も起こりやすいとされています。また免疫システムがまだ完成していない1歳未満の乳児も敗血症のリスクが高いと言われています。
このような方は病状の変化に特に注意が必要です。
敗血症の原因となっている感染源、細菌・ウイルス・真菌(カビ、酵母等)を特定し、適切な治療を早急に行わなければなりません。
細菌による感染症の多くは抗菌薬を、ウイルスには抗ウイルス薬、そして真菌には、真菌の細胞膜を破壊したり細胞膜の合成を阻害する抗真菌薬を、それぞれ投与することで症状を抑えることができます。また感染により障害された組織を外科的に切除することもあります。
臓器障害が多臓器に広がった敗血症では、血圧低下や呼吸不全、腎不全、肝不全など、様々な症状が現れます。
その場合、血圧低下には輸液や昇圧薬の投与、呼吸不全には人工呼吸器による管理、また腎不全や肝不全には血液濾過透析をはじめとする高度な治療が必要となります。これらの全身管理を集中治療室で行います。
初めは手伝ってもらいながらゆっくりと動き回ったり、身の回りのことを行ったりすることから始めます。以前の健康状態と同じ、あるいは可能な限りそれに近い状態にまで戻ることが、リハビリテーションの目的です。
集中治療を必要とする他の病気と同じように、一部の人は長期的な後遺症が残ります。筋肉の動きが悪くなったり関節痛、精神的な不安や認知機能の低下、臓器の機能障害などです。このような症状は体調や精神状態が元に戻るまでの間、続くことがあります。
退院後は回復に向けて、自分で服を着たり、筋力の回復に努めるなど、日常の中で小さな目標を立て、それらを達成できるように努力します。家族とのコミュニケーションやバランスのとれた食事などが大切です。
敗血症対策の5つの柱を、5色の花弁を持つ花で表現し、これを敗血症.comのシンボルマークとしました。敗血症の啓発運動が全国各地に広まり、花開き、敗血症で苦しむ方が少しでも減るようにとう願いを込めています。