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よくあるご質問や、当サイトに寄せられた敗血症に関する
ご質問にお答えします。

敗血症の原因「感染症」について

感染症とは何ですか?敗血症との違いは?
感染症とは、環境中[大気、水、土壌、動物(人も含む)など]に存在する病原性の微生物、細菌・ウイルス・真菌(カビ、酵母等)が、人の体内に侵入することで引き起こす疾患です。敗血症とは、生命を脅かす感染に対する過剰な生体反応で、組織障害、臓器障害、そして死に至る致死性の病態です。
肺炎・下痢・膀胱炎・傷の化膿は、すべて感染症なのでしょうか?
肺炎は多くが感染症によるものです。中には、自己免疫性に起こるものや、薬剤の副作用でおこるようなものもあります。医師は肺炎を見たら感染症かそうでないか、感染症だとしたら原因微生物が何かということを考えます。
下痢は感染性腸炎の症状としてよく見られますけれども、こちらも様々な原因で起こります。多くはウイルス性腸炎かもしれませんが、自己免疫、薬剤のほか、過敏性腸症候群のようにストレスが原因になる場合もあります。
膀胱炎も感染症によるものと非感染症のものがあります。腫瘍の治療で用いる放射線が原因となることもありますし、尿管結石などの異物が原因になる場合、薬剤性など原因は多岐に渡ります。ただ、多くの急性膀胱炎は細菌感染によるものです。
傷の化膿は感染症によるものです。膿の正体は、感染性微生物に対抗すべく集められた白血球の塊のようなものです。
細菌、ウイルス、カビの違いを教えてください。
ウイルス(virus)
ウイルスは細胞を持たず、基本的にはタンパク質と核酸からなる粒子です。細胞がないため単独では増殖できず、他の生物の生きた細胞に寄生(感染)して増殖します。主なウイルスとして、ノロウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV などがあります。
抗ウイルス薬がありますが、一般的にワクチンの予防接種でウイルス感染を予防します。

細菌(bacteria)
体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら、人の細胞に侵入するか、毒素を出して細胞を傷害します。細菌による感染症の多くは、抗生物質を投与することで症状を抑えることができます。主な細菌として、ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、結核菌、破傷風菌、レンサ球菌などがあります。
細菌の細胞に作用、あるいは増殖を抑制する抗菌薬が有効な治療薬で、細菌の特性に応じたさまざまなタイプのすぐれた抗生物質と合成抗菌薬があります。

真菌(カビ)
真菌はカビの仲間の総称です。人の細胞に定着し、菌糸が成長と分枝(枝分かれ)によって発育します。酵母細胞では出芽や分裂によって増殖します。このうち人体に感染症を及ぼす真菌としては、白癬菌、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムコールなどが有名です。真菌の細胞膜を破壊したり、細胞膜の合成を阻害する抗真菌薬があります。
自覚症状のない感染症もあるのでしょうか?
あります。多くの感染症では「潜伏期」と言って、病原体が体内に侵入後、増殖して病気の症状を出すまでの期間があり、自覚症状がないにも関わらず他人には感染させてしまうということがあります。また、体力のある方の場合、病原体によっては自覚症状が現れないまま、体の免疫システムが病原体を排除してしまうこともあります。
一方、膀胱炎に代表されるように、感染症として成立してはいても、自覚症状が現れにくい感染症もあり、検査で初めて分かることもあります。また、微熱くらいなら気づかない、あるいは気にしない方もおられるでしょう。特に、糖尿病の患者さんなどは知覚が鈍っており、痛みなどの変化に自ら気づきづらい可能性があります。早期に感染症や敗血症を発見し治療開始するために、自分の体の変化に敏感になりましょう。
かぜは感染症ですか?
かぜ(かぜ症候群)とは「上気道(鼻、咽頭、喉頭)」の感染です。しかし最近は、上気道の急性炎症のみでなく、下気道(気管、気管支、肺)にまで広がって急性炎症をきたす疾患を総称していわれます。
かぜ症状群の原因微生物は、 80 ~ 90% がウイルスといわれています。主な原因ウイルスとしては、ライノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、RS ウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどがあげられます。ウイルス以外では、A 群β溶血性連鎖状球菌(溶連菌)、百日咳菌などの細菌や肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなどの非定型病原体があげられます。かぜ症候群は、空気中に浮遊しているウイルスなどの病原体が、気道内に入って気道粘膜に付着し、侵入と増殖することから始まるとされています。症状として発熱、頭痛、全身倦怠感、鼻症状(鼻水、鼻づまり)、咽頭症状(咽頭痛)、下気道症状(せき、たん)があります。
ウイルス性のかぜ症候群であれば、安静、水分・栄養補給により、自然に治癒します。抗菌薬も一般的には不要なことが多く、解熱剤も適宜に使用する程度でよいと思われます。ただ、原因がウイルス以外の細菌もしくは非定型病原体によると思われる場合には、それぞれに適した抗菌薬を診断後からでもいいので投与します。かぜ症候群は普段から予防することが重要です。特に、外出時にはマスクをし、外出後には手洗い、うがいを必ず励行してください。
どうすれば、感染を予防できますか?
医療機関を受診し治療を受ける以外に、下記のような予防策が考えられます。
・頻回な手洗い。あなたはもちろん、周りの人にもしっかり手洗いを頻回にしてもらう。
・人混みや風邪や感染のあるような人を避ける。
・インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種
・毎日お風呂に入り、シャワーを浴びる。
・皮膚の乾燥や肌荒れを予防するために、無香料のローションをつける。
・柔らかい歯ブラシで歯磨きや歯茎の手入れを行う。
・食べ物や飲み物、カップ、歯ブラシなどの器具を他人と共有しない。
・肉や卵を食べる際には、殺菌処理し調理する。
・生野菜やフルーツは丹念に洗う。
・ペットや家畜の糞尿との接触を避ける。
・手袋を着用している場合でも、動物やその排泄物を触った後には、速やかに手を洗う。
・庭の手入れの際には手袋を着用する。
感染症や敗血症にかかったかなと思ったら、どうすれば良いですか?
感染症や敗血症の症状がある場合には、速やかにお医者さんにかかるか、病院の救急外来を受診してください。医学的に緊急を要します。
炎症反応とは何ですか?
炎症反応は、有害な刺激(感染症なら病原体)に対して我々の体の免疫が戦っているときに起こるものです。我々が風邪にかかると、全身のだるさ、熱、筋肉痛や関節痛がでたりしますが、これも炎症反応の結果でてくるものです。通常は病原体をやっつけるための正常な反応ですが、敗血症ではこの炎症反応が暴走して自分自身で制御できなくなった状態になります。
平熱には個人差がありますが、発熱および低体温と診断される基準はどこにあるのでしょうか?
完全に統一されているわけではありません。医学的には発熱は38℃以上とされていますが、感染症法では37.5℃以上としており、数値が異なります。ただし、少なくとも37℃は平熱であることも多いです。一方で、低体温は、体の中心に近い温度(直腸の温度で計測されます)で35℃未満としています。ただし、平熱は人によってさまざまであり、また、気温、計測した時間、運動、代謝、ホルモンバランス(女性ならば生理)によっても変動しますので、その時の状況によって変わることは確かなので、あくまでもこの基準は厳格なものではなく目安です。どのくらい高ければ、という数値はありませんが、平熱が低めの人は普段よりも明らかに高くなっていれば発熱と考えることもできます。

当サイトに寄せられたご質問から

敗血症の初期症状はどんなものですか?
また、どのような体のサインが出たら病院に行けばいいですか。
敗血症は、頭痛がする、咳が出る、痰が出る、ぶるぶる震える、高い熱が出てぐったりしている、関節が痛い、お腹が痛い、トイレが近いなど、まず、「感染症かな」と、何か感染症を疑う症状があることを確認します。
つまり、「風邪っぽい」などという感染症を疑う症状に加えて、次の3つなどをチェックしてください。

《3つのチェックポイント》
①意識が変
意識がいつもと違い、反応が悪かったり、頭がボーっとしたりします。話が鈍かったり、話が混乱したりすることもあります。

②呼吸が速くなる
敗血症を疑った場合には、1分間の呼吸の数を胸の上がり方や鼻息などから、数えるようにしてください。激しい息切れには、注意が必要です。

③血圧が下がる
現在、血圧計を置かれているご家庭が増えているようです。血圧を計ることができるならば、収縮期圧(上の血圧)が100mHg以下となる場合、普段から血圧が低い方を含めて注意してください。

以上の3つをチェックを行ってください。これらのどれかが当てはまるようでしたら、病院に行くことをお勧めします。
その他の注意としては、体温を測っていただき、体温が高い、または体温が低い、また、脈を触れる技術があれば脈が速い、症状としてはフラフラする、ふらつきがある、皮膚の色がまだらに変色しているなどに注意してください。感冒様症状に加えて、これらの症状があるときも病院を受診することをご検討ください。
敗血症を重症化させない方法はありますか?
重症化を防ぐ方策としては、早期に適切な介入をするしかありません。病状によっても治療は異なるので、体調の変化を自覚されたら早々にかかりつけ医等、医療機関に相談することをおすすめします。
稀ではありますが、早めに病院を受診されたにもかかわらず、病状の進行が早く重症になられる方もいらっしゃいます。
重症化の兆しが認められる場合には、早期の抗菌薬投与のほか、初期輸液などの循環管理、人工呼吸器管理も含めた呼吸管理などの集中治療をできる医療機関への紹介がなされます。こうしたスムーズな連携についても、学会を通して向上させていきたいと考えています。
どのような時に敗血症を疑わなければならないかは、ぜひ「敗血症.com」の情報もご参考ください。
敗血症で多い感染源は何ですか?
細菌が原因になることが多く、感染源として、肺炎、腹腔内感染症、尿路感染症の頻度が高いです。
虫歯だけが直接の原因で敗血症になることはありますか?
虫歯が進行すると、虫歯の原因となる細菌も含めた口腔内細菌(口の中に住んでいるバイ菌)が歯髄や歯根部周囲に重篤な口腔内感染症を起こし、敗血症になることがあるかもしれません。また、虫歯の治療(抜歯など)により、口腔内細菌が血流にのって全身に渡ることも知られており(菌血症と呼ばれる)、これが原因で敗血症になることがあります。
敗血症ショックから意識が戻りつつある時、語りかけは有効ですか?
また、順調に経過をたどると、全身の症状はどのように治療、回復しますか?
まず敗血症からの回復の過程についてですが、敗血症で障害された臓器により症状は様々です。集中治療では、臓器障害に対してあらゆる方法で臓器の機能をサポートします。順調に経過をたどると、臓器が本来の機能を取り戻すので、治療介入の量が減っていきます。例えば人工呼吸から離脱したり、酸素の量が減ったり、点滴の量が少なくなったり、必要な投薬の量や種類が減ったり、透析から離脱したり。目に見えて管が少なくなっていくので、回復に向かっていることがわかりやすいかもしれません。
意識についても、徐々に本来の機能を取り戻したり、意図的に使用していた鎮静薬を減らすことでだんだんと改善してくることが見込まれます。この意識が回復してくる段階における語りかけの有効性についてですが、明確なことは分かっていません。ただ、家族の皆さんをはじめ医療者も患者さんへ語りかけることは大切と考えています。鎮静中でもご家族のお声掛けは聞こえていることも多く、心理的なサポートにつながると考えられます。
また、直接的に患者さんの治療効果に影響するかどうかということの他に、患者さんを支える家族の皆様にとっても語りかけは重要と考えています。不安の中看病することは大変なことですし、集中治療室に入院している患者さんの家族のみなさんも心理的症状(PTSD、抑うつなど)を発症することも知られています。患者さん本人に語りかけ、家族の皆さんにもケアに積極的に参加してもらい、こうした不安を軽減できるように働きかける取り組みも行なっています。患者さんへの語りかけを通して、家族の皆さんと医療者がともに患者さんの回復を支えていければと考えています。

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